障がい福祉サービスの開設では、サービスの種類にかかわらず、共通して確認しておきたいことがあります。この記事では、大阪府・大阪市などの公式情報をもとに、「法人・役員」「必要書類」「お金」「物件・立地」の4つを、表で整理します。サービスごとの違いは、各サービスの記事でご確認ください。
この記事のポイント(4つ)
- 窓口は、事業所を置く場所で決まります。
- 法人・役員には条件があります(法人格・定款・欠格要件)。
- お金は、入金まで約2か月かかります。運転資金を、2、3か月分は用意します。
- 物件・立地は、法令の確認に時間がかかります。契約の前に確認します。
まず、全体のチェック表
【図1】共通チェックリスト(全体像)
| 分野 | 確認すること | 確認する先 |
|---|---|---|
| ① 窓口 | 事業所を置く場所の窓口はどこか | 事業所を置く市町村・大阪府 |
| ② 法人・定款 | 法人格があるか。定款の事業目的に、障がい福祉サービスが入っているか | 法務局・専門家(行政書士など) |
| ③ 役員 | 役員に、欠格要件にあたる方がいないか | 大阪府・大阪市の案内、法令 |
| ④ 必要書類 | どんな書類が要るか。いつまでにそろえるか | 大阪府・大阪市の様式一覧 |
| ⑤ お金 | 立ち上げ資金と運転資金。報酬の単価(級地) | 大阪府の案内 |
| ⑥ 物件・立地 | 都市計画法・建築基準法・消防法など | 各法令の担当部署・消防署 |
| ⑦ 市町村への連絡 | 市町村の「指定に関する意見等」 | 事業所を置く市町村の担当課 |
① 窓口:事業所を置く場所で決まります
指定の申請先は、事業所を置く場所によって異なります。手続きの流れや、受付の日程も、窓口によって変わります。
【図2】事業所を置く場所と、主な窓口
| 事業所を置く場所 | 主な窓口 | 備考 |
|---|---|---|
| 大阪市内 | 大阪市 | 事前協議は、大阪市行政オンラインシステムで手続きします |
| 堺市内 | 堺市 | 就労継続支援などは、申請予約の前に、事前協議の完了が必要です |
| それ以外の地域 | 大阪府など | 市によって、窓口が別の場合があります。事業所を置く予定の市の窓口へ、ご確認ください |
同じ「大阪」でも、まずどこに事業所を置くかで、窓口とスケジュールが決まります。
② 法人・定款:法人格と、事業目的を確認します
大阪市の案内では、指定を受けるには、次の2つが必要とされています。
【図3】法人・定款の条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 法人格 | 法人格が必要です(会社、NPO法人など) |
| 定款 | 定款に、障がい福祉サービス事業を行うことが記載されている必要があります |
法人を作る段階で、事業目的に、障がい福祉サービス事業を入れておくのが確実です。あとから定款を変更する場合は、登記の手続きが伴うことがあります(詳細は、専門家にご確認ください)。
③ 役員:「欠格要件」にあたる方がいないか
障害者総合支援法の第36条では、指定を受けられない場合(欠格要件)が定められています。法人の場合は、役員などの中に、次のような方がいると、指定を受けられません。
【図4】役員の欠格要件(主なもの)
| 該当する方 | 詳しい内容 |
|---|---|
| 刑罰を受けた方(1) | 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行が終わっていない(または、受けることがなくなっていない)方 |
| 刑罰を受けた方(2) | 福祉や保健医療に関する法律により罰金の刑に処せられ、その執行が終わっていない(または、受けることがなくなっていない)方 |
| 指定を取り消された方 | 指定を取り消されてから5年以内の方(一定の例外があります) |
申請の際は、これらに該当しない旨の誓約書も提出します。役員を決める段階で、確認しておくと安心です。
④ 必要書類:種類が多く、準備に時間がかかります
大阪府の案内には、新規指定の申請書類として、次のようなものが挙げられています。書類がそろっていないと、申請を受け付けてもらえません。
【図5】新規指定の主な必要書類(大阪府の案内より)
| 分類 | 主な書類 |
|---|---|
| 基本書類 | 指定申請書、履歴事項全部証明書(登記事項証明書)、誓約書 など |
| 人員関係 | 組織体制図、従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表、管理者・サービス提供責任者などの経歴書、実務経験証明書 |
| 建物関係 | 案内図、平面図、居室面積・設備備品等の一覧表、事業所の内外の写真、建築確認・検査に関する書類 |
| その他 | 事業計画書、収支予算書、社会保険・労働保険の加入状況確認票、運営規程(サービスの種類ごとに様式が異なります) |
運営規程は、事業の運営ルールを定めた書類です。サービスごとに様式が違いますので、早めに準備を始めることが大切です。
⑤ お金:入金までの時間差と、報酬の単価(級地)
入金までの時間差
障がい福祉サービスの報酬(サービスを提供した対価)は、国民健康保険団体連合会(国保連)への請求と、審査を経て支払われます。
【図6】お金の流れと、資金の準備
| 時期 | 出ていくお金・入るお金 |
|---|---|
| 開設の準備 | 法人の立ち上げ費用、物件の費用、備品の費用 など(先に出ていきます) |
| サービスの提供を始める | 人件費・家賃などが、毎月かかります(先に出ていきます) |
| 提供開始から約2か月後 | はじめて、給付費が入金されます(大阪府の案内) |
大阪府の案内では、少なくとも2、3か月分の従業員の人件費などの運転資金を、確保しておく必要があるとされています。
報酬の単価は、地域(級地)で違います
障がい福祉サービスの報酬は、事業所のある地域ごとの「地域区分(級地)」によって、1単位あたりの単価が変わります。同じサービスを同じ規模で行っても、所在地によって、収入の見込みが変わります。
【図7】大阪府内の主な市の級地(令和6年度〜令和8年度)
| 級地 | 上乗せ割合 | 主な市 |
|---|---|---|
| 2級地 | 16% | 大阪市 |
| 4級地 | 12% | 豊中市、吹田市、高槻市 |
| 5級地 | 10% | 堺市、枚方市、東大阪市、茨木市、八尾市 |
| 6級地 | 6% | 岸和田市 |
- 数字が小さい級地ほど、上乗せ割合が大きくなります。
- ここに載せていない市町村もあります。事業所を置く予定の市町村の級地は、大阪府の案内などで、ご確認ください。
- この表は、令和6年度から令和8年度までの地域単価の区分です。令和9年度以降は、見直される可能性があります(推測です)。最新の資料で、ご確認ください。
⑥ 物件・立地:法令の確認に、時間がかかります
大阪府の「障がい福祉サービス事業等を始めるにあたっての注意事項」では、開設前に確認しておくべきこととして、次のような点が案内されています。
【図8】物件・立地のチェック表
| 法令・項目 | 確認すること |
|---|---|
| 都市計画法 | 市街化調整区域などでは、開発許可が必要な場合があります |
| 建築基準法 | 採光・換気などの要件を満たす必要があります。延べ床面積が200平方メートルを超える場合は、用途変更が必要な場合があります |
| 消防法 | 自動火災報知設備や誘導灯の設置工事が必要な場合があります(グループホームなどでは、スプリンクラー設備などが必要な場合もあります)。申請書の提出締切日までに、所轄消防署の立ち入り調査を終えていない場合は、指定できません。防火対象物使用開始届出書(写し)の提出も必要です |
| 洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域 | 区域内の場合は、避難確保計画の作成と、避難訓練の実施が義務です |
| 近隣住民への説明 | 事前に説明を行うことが、望ましいとされています |
| 事業所の名称 | 近隣に、似た名称の事業所がないかを確認します。「!」「♪」などの記号は、使用しないよう案内されています |
| 駐車場 | 送迎を行う場合は、確保が必要です。長時間の路上駐車は、法令違反のおそれがあります |
大阪府は、「知らなかった」では対応できないと、注意を促しています。契約や工事の前に、所管の窓口へ確認しておきましょう。
⑦ 市町村への連絡:一部の市町村では、事前の連絡が必須です
大阪府は、市町村の「指定に関する意見等」を確認し、担当部署へ連絡するよう案内しています。とくに、次の9つの市町村では、生活介護・就労継続支援A型・B型について、事前協議の前に、市町村の担当課への連絡が必須とされています。
【図9】事前協議の前に、市町村への連絡が必要な地域(生活介護・A型・B型)
| 市町村 |
|---|
| 守口市、大東市、羽曳野市、門真市、摂津市、藤井寺市、四條畷市、交野市、島本町 |
- 連絡では、事業内容の説明や、ニーズの確認などを行います。
- とくに、島本町と交野市は、事前協議の前に、担当課への開設の連絡や、事業内容の説明を希望しています。
- 障がい児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)についても、各市町村の「指定に関する意見等」を確認し、市町村の担当課へ連絡することが、案内されています。
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開設のご相談は「現役介護福祉士×行政書士」の当事務所へ
共通のチェック項目は、どのサービスでも必要で、確認すべきことも多くあります。何から手をつけるか、整理するだけでも、準備の負担が軽くなります。
当事務所は、現役の介護福祉士としての現場経験と、行政書士としての申請実務の両方を持っています。法人・役員の確認から、書類の準備、収支計画、物件の確認、申請、開設後の運営体制まで、あわせてご相談いただけます。
サービスごとの要件や、開業から運営までの流れは「障がい福祉サービス開業・運営の完全ガイド」にまとめています。人員基準は「障害福祉サービスの人員基準一覧」もご覧ください。
まとめ
- 窓口は、事業所を置く場所で決まります。手続きの流れも、窓口によって変わります
- 法人格と、定款の事業目的が必要です。役員には、欠格要件があります
- 必要書類は多く、そろっていないと受け付けてもらえません
- 報酬は、提供開始から約2か月後に入金されます。運転資金は、少なくとも2、3か月分を用意しましょう。報酬の単価は、級地で違います
- 物件・立地は、都市計画法・建築基準法・消防法などの確認に時間がかかります。契約や工事の前に、確認しましょう
- 一部の市町村では、事前協議の前に、市町村への連絡が必須です
制度やスケジュールは変わることがあります。開設をお考えの方は、お早めにご相談ください。
開設前の確認に使える「共通チェックリスト【大阪版】」(PDF・A4で2ページ)を無料でダウンロードできます。印刷して、□にチェックを入れながらお使いください。
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