移動支援を開設する前の「順番」——「指定」ではなく「登録」、大阪市と堺市で条件が違う【大阪】

障がい福祉サービス(就労継続支援・グループホーム・生活介護など)の開設・運営支援のイメージ画像 障がい福祉

移動支援は、障害のある方の外出を支えるサービスです。ほかの障害福祉サービスと似ていますが、国の「指定」ではなく、市町村への「登録」で始める事業とされています。そのため、手続きの窓口や条件は、市町村ごとに異なります。この記事では、大阪市と堺市の公式ページをもとに、開設前に押さえておきたい「順番」を表で整理してご紹介します。

この記事のポイント(3つ)

  1. 移動支援は、市町村が行う地域生活支援事業のひとつで、市町村への登録が必要とされています。取扱いは市町村ごとに異なります。
  2. 大阪市は「居宅介護(重度訪問介護)の指定基準を満たしていること」、堺市は「居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護のいずれかの指定事業者であること」を登録の要件としています。
  3. 大阪市では、法人登記の事業目的に移動支援事業(または地域生活支援事業)の記載がない場合、申請できないとされています。

この記事で使う言葉(用語解説)

言葉 かんたんな意味
移動支援 障害のある方が円滑に外出できるよう、移動を支援する事業。
地域生活支援事業 障害者総合支援法にもとづき、市町村が地域の実情に合わせて行う事業。国が全国共通で報酬を決める「障害福祉サービス」(自立支援給付)とは別の枠組みです。
指定 障害福祉サービスの事業所として、都道府県や市から受けるもの(居宅介護など)。
登録 移動支援の事業者として、市町村に受けるもの。
支給決定 利用者が移動支援を使えるよう、市町村(大阪市では区の保健福祉センター)が決めること。
サービス提供責任者 居宅介護などで、支援の計画づくりやヘルパーへの指導などを担う職員。

結論:「どの市町村で登録するか」と「法人の準備」から始める

【図1】開設までの流れ(大阪市の例)

順番 やること ポイント
1 事業を行う市町村を決める 登録の条件・窓口・様式は市町村ごとに異なります
2 法人の事業目的を確認する 大阪市では、登記の事業目的に移動支援事業(または地域生活支援事業)の記載が必要とされています
3 居宅介護の基準に合う体制を整える 人員(管理者・サービス提供責任者・ヘルパー)、事務所、運営規程など
4 ヘルパーの資格を確認する 支援する方の障がい種別によって、必要な資格が異なります
5 受付期間内に登録の届出をする 大阪市は、登録日ごとに受付期間が決まっています
6 登録書の交付を受けて、事業開始 大阪市では、事業を開始する前月の下旬に、事業所番号を記載した登録書が交付されます

理由:移動支援は「市町村ごとの事業」だから

堺市のページでは、移動支援は障害者総合支援法の地域生活支援事業のひとつとして、各市町村が独自の事業内容で実施する事業と説明されています。大阪市のページでも、移動支援の内容は大阪市における取扱いであり、事業を実施する市町村で取扱いが異なるとされています。

そのため、ほかのサービスの開設と同じ感覚で進めると、窓口や条件の違いで手戻りが出ることがあります。

【図2】大阪市と堺市の登録の違い

大阪市 堺市
登録の要件 障がい福祉サービス事業の居宅介護(重度訪問介護)の指定基準を満たしていること 「居宅介護」「重度訪問介護」「同行援護」または「行動援護」の指定事業者であること
居宅介護等の指定がない場合 登録の届出はできるとされています(来庁での届出が必要で、手続き・書類が異なります) 要件を満たさないため、先に指定が必要と読めます
登録のタイミング 登録日(毎月1日)ごとに、届出受付期間が決まっています 20日までの申請で翌月1日、21日以降は翌々月1日に登録
窓口 福祉局 障がい者施策部 運営指導課 健康福祉局 障害福祉部 障害福祉サービス課

※ 大阪市・堺市以外の市町村(豊中市・吹田市など)の取扱いは、この記事では確認していません。事業所のある市町村、利用者の支給決定を行う市町村の窓口にご確認ください。

具体例:やりがちな順番ミス4つ

【図3】順番ミスの一覧

ミス 起こりやすいこと
ミス1:法人の事業目的を確認しない 大阪市では、事業目的に記載がないと申請できないとされています
ミス2:「指定の窓口」に相談してしまう 移動支援は登録の手続きで、窓口が異なることがあります
ミス3:ヘルパーの資格を確認しないまま採用する 支援する方の障がい種別によって、必要な資格が異なります
ミス4:受付期間を見落とす 受付期間を過ぎると、登録日が1か月以上先になることがあります

ミス1:法人の事業目的を確認しない

大阪市の新規登録のページでは、法人登記簿謄本の事業の目的として「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく移動支援事業(もしくは地域生活支援事業)」の記載が必要とされ、記載されていない場合、事業の申請はできないとされています。

事業目的の変更には、定款の変更と登記の手続きが必要になるため、ほかの準備より先に確認しておくと安心です。

ミス2:「指定の窓口」に相談してしまう

大阪市では、移動支援の事業所登録の窓口は、福祉局 障がい者施策部 運営指導課とされています。大阪市の手続きは、居宅介護・重度訪問介護の指定の状況によって、次の3つに分かれています。

【図4】大阪市の登録の手続き(3つのケース)

ケース 手続き
すでに居宅介護・重度訪問介護の指定を受けている(または大阪市外の事業所で、指定申請と同時に登録する) 受付期間中に、運営指導課あてに書類を送付
大阪市内の事業所で、居宅介護・重度訪問介護の指定申請と同時に登録する 居宅介護等の指定申請のときに、移動支援の登録書類もあわせて提出
居宅介護・重度訪問介護の指定を受けていない 受付期間内に、電話で予約のうえ来庁して届出(予約は受付期間の初日の数日前に締め切られるとされています)

ミス3:ヘルパーの資格を確認しないまま採用する

大阪市は、利用者の障がい種別に応じて、ヘルパーの資格要件を定めています(令和6年4月1日から適用)。たとえば、介護福祉士や居宅介護職員初任者研修の修了者は、知的障がい・精神障がいの方の移動支援には従事できますが、盲ろう・全身性障がいの方の移動支援には従事できないとされています。

【図5】大阪市の移動支援ヘルパーの資格要件(主なもの)

支援する方 従事できる主な資格・研修
知的障がい者(児)・精神障がい者(児) 居宅介護職員初任者研修、介護福祉士、介護福祉士実務者研修、(准)看護師、行動援護従業者養成研修・強度行動障害支援者養成研修(実践課程)など
全身性障がい者(児) 重度訪問介護従業者養成研修(追加課程)、日常生活支援従業者養成研修、全身性障がい者移動支援従業者養成研修
盲ろう者(児) 同行援護従業者養成研修、視覚障がい者移動支援従業者養成研修、大阪府盲ろう者通訳・介助者養成研修

※ 知的障がい者移動支援従業者養成研修の修了者は、知的障がいの方に従事できます(精神障がいの方には、平成19年8月31日までの修了者に限るとされています)。精神障がい者移動支援従業者養成研修の修了者は、精神障がいの方に従事できます。
※ 表は主なものです。すべての資格・経過的な扱いは、大阪市の「大阪市移動支援事業従事者の要件」でご確認ください。

どの障がい種別の方を支援するかを先に決め、それに合う資格のヘルパーを確保する、という順番がスムーズです。

また、大阪市では登録の際に「サービス提供責任者経歴書」の提出が求められ、確約書では、事業の運営について居宅介護事業に関する基準の規定を守ることを確約することになっています。サービス提供責任者の配置を含め、居宅介護の基準に沿った体制づくりが前提と考えられます。居宅介護の基準については、居宅介護を開設する前の「順番」の記事で整理しています。

ミス4:受付期間を見落とす

大阪市では、登録日ごとに届出の受付期間が決まっています。送付の場合は、受付期間の最終日の消印有効とされています。

【図6】大阪市の受付スケジュールの例

登録予定日 届出の受付期間
2026年11月1日 2026年9月18日〜2026年10月13日
2026年12月1日 2026年10月20日〜2026年11月10日
2027年1月1日 2026年11月20日〜2026年12月10日

※ 大阪市のページでは、日程は予定であり、やむを得ず変更することがあるとされています。最新の日程は大阪市のページでご確認ください。

堺市では、20日までに申請すれば翌月1日、21日以降は翌々月1日に登録されるとされています。

大阪市の主な提出書類

大阪市の新規登録のページでは、次のような書類が挙げられています。居宅介護の指定の有無によって、必要な書類が異なります。

  • 新規登録連絡票、登録届出書(様式第12号)、移動支援サービスの実施に関する確約書(様式第13号)、登録に係る記載事項(様式第14号)
  • 運営規程、法人登記簿謄本
  • 居宅介護の指定書または指定申請書の写し
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表、組織体制図、管理者経歴書、サービス提供責任者経歴書、従業者の資格を証明するもの
  • 事業所の平面図、事業所内外の写真、案内図
  • 苦情処理の概要、事業計画書、収支予算書、損害賠償発生時の対応方法を示す書類 など

法人・役員・物件など、障害福祉サービスに共通する準備は、共通チェックリストの記事で整理しています。

まとめ

  • 移動支援は、市町村の地域生活支援事業で、市町村への登録で始める事業とされています。取扱いは市町村ごとに異なります。
  • 大阪市は居宅介護(重度訪問介護)の指定基準を満たしていること、堺市は居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護のいずれかの指定事業者であることを、登録の要件としています。
  • 大阪市では、法人登記の事業目的、障がい種別ごとのヘルパーの資格、登録日ごとの受付期間が、順番を考えるうえでのポイントになります。

移動支援は、市町村ごとの違いが大きい事業です。事業所のある市町村の最新の案内を確認しながら、準備を進めることをおすすめします。


免責:この記事は、2026年9月29日時点の大阪市・堺市の公式ページをもとにした一般的な情報のご紹介です。移動支援の取扱いは市町村によって異なり、変更されることもあります。個別の手続きは、各市町村の窓口にご確認ください。

出典(すべて2026年9月29日確認)


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移動支援は、市町村ごとに条件が異なり、法人の事業目的やヘルパーの資格など、早めに確認しておきたい点が多い事業です。
行政書士中谷法務事務所では、現役の介護福祉士でもある行政書士が、現場を知る立場から、居宅介護とあわせた体制づくりや、登録の準備をお手伝いします。

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この記事を書いた人
行政書士 中谷 康宏

行政書士中谷法務事務所 代表。介護福祉士。高齢者介護施設での勤務を経て、現在も障がい福祉の訪問ヘルパーとして現場に立ちながら、障がい福祉サービスの指定申請・運営支援、測量業・建設コンサルタント登録などを担当しています。現場と窓口の両方の目線で、分かりやすくお伝えすることを心がけています。

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