グループホーム(共同生活援助)の開設で最初に押さえたいのは、物件を契約する前に、基準と自治体の確認を済ませることです。ほかのサービスと違い、グループホームは「住まい」そのものが事業の中心です。物件が基準に合わなかった場合、契約や工事のやり直しにつながりやすいためです。この記事では、国の基準(省令)と大阪府・大阪市の公式情報をもとに、開設前の順番と、つまずきやすい点を、図や表で整理します。
この記事のポイント(3つ)
- 物件を契約する前に、基準と自治体の確認を済ませます。
- 居室は7.43平方メートル以上、入居定員は2人以上10人以下です(国の基準)。
- 事前協議は審査に時間がかかるため、期限にかかわらず早めに始めます(大阪府)。
この記事で使う言葉(用語解説)
| 言葉 | かんたんな意味 |
|---|---|
| グループホーム(共同生活援助) | 障がいのある方が、地域の中で少人数で暮らす「住まい」で、食事や入浴、日常生活の支援を受けられるサービス。 |
| 共同生活住居 | 入居者が暮らす住まい。一戸建てや、マンションの一室などが使われます。 |
| ユニット | 共同生活住居の中の、居室と、入居者が交流できる共用の場所をまとめた単位。 |
| 世話人・生活支援員 | 入居者の日常生活を支える職員。世話人は食事の提供や金銭管理の支援など、生活支援員は身体面などの支援を担います。 |
| サービス管理責任者(サビ管) | 入居者一人ひとりの支援計画づくりなどを担う専門職。 |
| 事前協議 | 正式な申請の前に、人員や設備などの計画を、自治体と確認する手続き。グループホームは、事前協議が必要です。 |
結論:物件を契約する前に、基準と自治体の確認を済ませましょう
グループホームは、物件の立地・広さ・定員が、そのまま設備基準に関わります。契約や工事に進む前に、基準を満たせるかを確認し、事前協議のスケジュールから逆算して動くことが大切です。
【図1】開設までの流れ

| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 指定を受けたい月を決める | そこから逆算して、事前協議の時期を決めます(早めの手続きを心がけます) |
| ② | 入居者の想定(人数・障害支援区分)を決める | 必要な人員と、居室の数が決まります |
| ③ | 物件の候補を絞り、平面図で基準を確認する | 居室の面積(7.43平方メートル以上)、定員、立地を確認します |
| ④ | 建築・消防の確認を進める | 所管の消防署などに、契約の前に確認します。既存戸建ての取扱いに当てはまるかも確認します |
| ⑤ | 人員の見通しを立てる | 管理者・サビ管・世話人・生活支援員。申請の時点で要件を満たす必要があります |
| ⑥ | 貸主・近隣の理解を得る | 物件を借りる場合は、貸主への確認を早めに行います |
| ⑦ | 事前協議に進む | そのあとに、契約と本申請に進みます(契約のタイミングは、自治体の案内でご確認ください) |
理由:設備基準が、物件の条件をそのまま決めるから
国の基準(障害者総合支援法にもとづく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準)では、グループホームの設備について、次のように定められています。
【図2】設備の基準(国の基準)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 立地 | 住宅地、または住宅地と同程度に、家族や地域住民との交流の機会が確保される地域。入所施設や病院の敷地の外 |
| 入居定員(1つの共同生活住居) | 2人以上10人以下(既存の建物を使う場合は、例外があります) |
| 入居定員(ユニット) | 2人以上10人以下 |
| 事業所全体の定員 | 共同生活住居の入居定員の合計が、4人以上 |
| 居室の定員 | 原則1人(サービス提供上必要と認められる場合は2人) |
| 居室の面積 | 収納設備などを除き、7.43平方メートル以上 |
つまり、物件を選ぶ段階で、「住宅地にあるか」「居室が基準の広さを満たすか」「定員に必要な居室の数を確保できるか」が決まってしまいます。契約後に「面積が足りない」とわかっても、やり直しがききません。
国の基準では、職員の数も次のように定められています。
【図3】人員の基準(国の基準)
| 職種 | 基準 | 例 |
|---|---|---|
| 世話人 | 常勤換算で、利用者の数を6で割った数以上 | 利用者が6人なら、1人以上 |
| 生活支援員 | 障害支援区分ごとに、区分3は÷9、区分4は÷6、区分5は÷4、区分6は÷2.5で、利用者の数を割った数の合計以上 | 入居者の区分によって、必要な数が変わります |
| サービス管理責任者 | 利用者が30人以下なら、1人以上 | |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤の管理者(管理上支障がない場合の例外があります) |
- 新規に指定を受けるときの利用者の数は、「推定数」で計算します。どんな区分の方が、何人入居する想定かによって、必要な生活支援員の数が変わります。
- 大阪市の案内では、サービス管理責任者は、申請の時点で要件を満たしている必要があります。他の事業所で働いている方を配置する場合は、申請までに変更届が必要です。
具体例:やりがちな順番ミス5つ
【図4】順番ミスの一覧
| ミス | 起こること | 避け方 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 物件を先に契約し、居室の広さや定員が基準に合わない | 契約や工事のやり直し | 契約の前に、平面図で基準を確認する |
| 2 | 消防・建築の確認が後回し | 届出に時間がかかり、開設が遅れる。消防署の立ち入り調査が間に合わないと、指定できない | 物件を決める前に、所管の消防署へ確認する |
| 3 | 人員の見通しが立たない | 必要な職員の数が足りない。サビ管の要件が、申請時点で満たせない | 入居者の想定から、人員を組み立てる |
| 4 | 事前協議に時間がかかることを見落とす | 指定日が翌月以降にずれ込む | 期限にかかわらず、早めに手続きを始める |
| 5 | 近隣や貸主の理解を後回し | 物件を借りられない、開設に支障が出る | 貸主・近隣へ、早めに確認・説明する |
ミス1:物件を先に契約し、居室の広さや定員が基準に合わない
もっとも起こりやすいミスです。居室の面積は、収納を除いて7.43平方メートル以上が必要で、入居定員に見合う居室数も必要です。契約の前に、平面図で基準を満たすかを確認してください。
大阪府では、事前協議の前に物件の平面図などを確認したい場合、メールで事前相談ができます(対象・条件は、案内でご確認ください)。グループホームについては、物件の確認が必要なことも案内されています。
ミス2:消防・建築の確認が後回しになる
物件の消防・建築の条件は、開設のスケジュールに大きく影響します。大阪市の案内でも、建築基準法や消防法などの届出には、相当の期間がかかる可能性があるとされています。
大阪府の「障がい福祉サービス事業等を始めるにあたっての注意事項」では、次のことが案内されています。
【図5】消防・建築のチェック(大阪府の案内)
| 法令 | 確認すること |
|---|---|
| 消防法 | 自動火災報知設備や誘導灯の設置工事が必要な場合があります。グループホームや入所支援施設では、スプリンクラー設備などが必要な場合もあります |
| 消防署の立ち入り調査 | 申請書の提出締切日までに、所轄消防署の立ち入り調査を終えていない場合は、指定できません。防火対象物使用開始届出書(写し)の提出も必要です |
| 建築基準法 | 延べ床面積が200平方メートルを超える場合は、用途変更が必要な場合があります |
消防法の取扱いは、事業所の所在地を所管する消防署への確認が必要です。物件を決める前に、消防署への確認も進めておきましょう。
また、大阪府では、一定の条件を満たす既存の戸建て住宅を、グループホームとして使う場合の取扱いが示されています(建築基準法上の防火・避難の規定で、「一戸建ての住宅」として扱う考え方です)。
【図6】既存の戸建て住宅を使う場合の条件(大阪府の案内)
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 延べ床面積 | 200平方メートル未満 |
| 入居者数 | 7人以内 |
| 事前協議のとき | 「既存戸建てチェックリスト」を提出 |
| 新築 | 対象外 |
| 対象の市町村 | 守口市・大東市・羽曳野市・門真市・摂津市・藤井寺市・四條畷市・交野市・島本町に所在する事業所。それ以外の市町村は、それぞれの指定権者に確認が必要 |
ミス3:人員の見通しが立たないまま進める
人員の基準は、【図3】のとおりです。物件だけでなく、入居者の想定(人数・障害支援区分)から、人員を組み立てることが大切です。
ミス4:事前協議に、時間がかかることを見落とす
グループホームは、事前協議が必要なサービスです。大阪府では、共同生活援助は審査に時間を要するため、事前協議の提出期限にかかわらず、早めの手続きを求めています。期限までに協議が完了しないと、指定日が翌月以降にずれ込みます。
なお、日中サービス支援型のグループホームの場合は、事前協議の手続きの前に、事業計画シートを審査の担当者へ提出する必要があります(大阪府の案内)。
ミス5:近隣や、物件の所有者の理解を、後回しにする
大阪市は、グループホームの開設には、市民の皆さまや、物件の所有者の皆さまの理解が不可欠だとしています。物件を借りる場合は、貸主の理解が得られるかも、早めに確認しておきたい点です。
共通の手続きは、総論と共通チェックリストの記事へ
法人・定款・役員の欠格要件・必要書類・収支計画(級地)など、どのサービスにも共通する内容は、総論の記事と、共通チェックリストの記事でまとめています。
グループホームの開設のご相談は「現役介護福祉士×行政書士」の当事務所へ
グループホームは、物件、消防・建築、人員、入居者の受け入れなど、確認する項目が多く、順番を間違えるとやり直しの負担が大きくなります。また、開設後に、入居者が安心して暮らせる運営ができるかも大切です。
当事務所は、現役の介護福祉士としての現場経験と、行政書士としての申請実務の両方を持っています。物件の確認の進め方から、人員の組み立て、事前協議・申請、開設後の運営体制まで、あわせてご相談いただけます。
要件・流れの全体像は「共同生活援助(グループホーム)の開設・運営ガイド」にまとめています。
まとめ
- グループホームは、物件が事業の中心です。契約の前に、基準と自治体の確認を済ませましょう
- 居室は7.43平方メートル以上、入居定員は、共同生活住居・ユニットとも2人以上10人以下です(国の基準)
- 世話人は利用者数÷6(常勤換算)、生活支援員は障害支援区分に応じて計算し、サビ管・管理者も必要です
- 消防法の確認は、所管の消防署に行います。既存戸建ての取扱いは、条件と対象市町村が限られます(大阪府)
- 事前協議は、審査に時間がかかるため、期限にかかわらず早めに手続きを始めましょう
制度は変わることがあります。開設をお考えの方は、お早めにご相談ください。
開設前の確認に使える「共通チェックリスト【大阪版】」(PDF・A4で2ページ)を無料でダウンロードできます。印刷して、□にチェックを入れながらお使いください。
開設後も、処遇改善加算の毎年の手続きや、運営指導(旧:実地指導)への備えなど、継続してご相談いただける顧問契約もご用意しています。詳しくは料金案内ページをご覧ください。



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