同行援護は、視覚障がいのある方の外出に同行し、移動に必要な情報の提供や移動の援護などを行うサービスです。人員の基準は居宅介護と共通ですが、働く人の資格要件は同行援護独自のものがあります。とくに、従業者向けの「一般課程」と、サービス提供責任者向けの「応用課程」の違いを押さえておかないと、「ヘルパーはそろったのに、サービス提供責任者の要件を満たす人がいない」という順番の失敗が起こりやすくなります。この記事では、厚生労働省・大阪府・大阪市の公式の案内をもとに、開設前に押さえておきたい「順番」を表で整理してご紹介します。
この記事のポイント(3つ)
- 同行援護従業者養成研修は、従業者向けの一般課程と、サービス提供責任者向けの応用課程に分かれています。令和7年4月から新しいカリキュラムになり、一般課程は28時間、応用課程は6時間とされています。
- サービス提供責任者は、応用課程の修了だけでは足りず、介護福祉士・実務者研修などの資格、または一般課程の修了と視覚障害者の介護等の経験3年以上といった土台の要件もあわせて必要とされています。
- 盲ろう者向け通訳・介助員として同行援護に従事している方の「みなし」の扱いは、令和9年3月31日まで(延長が決まった時点で、すでにこの扱いで従事していた方に限る)とされています。いまの期限のあとも従事するには、同行援護従業者養成研修の修了が必要になると考えられます。
この記事で使う言葉(用語解説)
| 言葉 | かんたんな意味 |
|---|---|
| 同行援護 | 視覚障がいにより移動に著しい困難のある方の外出に同行し、移動に必要な情報の提供や移動の援護などを行う障害福祉サービス。 |
| 同行援護アセスメント調査票 | 同行援護を利用できるかどうかを判断するための調査票。同行援護は、障害支援区分の認定が不要とされています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。 |
| 一般課程 | 同行援護従業者養成研修のうち、外出の支援に必要な知識・技術を学ぶ課程。従業者の要件になります。 |
| 応用課程 | 一般課程の修了者などが、サービス提供責任者としての知識・技術を学ぶ課程。 |
| サービス提供責任者 | 同行援護計画の作成や、利用の申込みの調整、従業者への技術指導などを担う職員。 |
| 盲ろう者向け通訳・介助員 | 視覚と聴覚の両方に障がいのある方に、通訳や移動の介助を行う方。盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業などで活動しています。 |
結論:「サービス提供責任者になれる人」を先に確認する
【図1】開設までの流れ(大阪市の例)
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 事業所を置く市町村と、指定の窓口を確認する | 大阪府内では、市町村によって指定の窓口が異なります(下の【図1の補足】) |
| 2 | 要件を満たすサービス提供責任者を確保する | 多くの場合、土台の要件+応用課程の修了が必要とされています(図4) |
| 3 | 要件を満たす従業者を確保する | 一般課程の修了などが必要とされています |
| 4 | 法人の事業目的・事務所・運営規程を整える | 人員・設備の基準は居宅介護と共通とされています |
| 5 | 申請の予約をして、受付期間内に申請する | 大阪市では、電話で面談日時を予約したうえで、来庁して提出するとされています |
| 6 | 指定時研修を受け、指定を受けて事業開始 | 大阪市では、指定を受ける月の前月25日ごろの指定時研修を、原則として管理者が受講するとされています |
大阪府の障害福祉サービス等指定申請の手引きでは、同行援護の場合、サービス提供責任者と従業者に、それぞれ1名以上、資格要件を満たす人の配置が必要とされています。研修の日程によっては修了までに時間がかかるため、まず「誰がサービス提供責任者になれるか」を確認しておくと、準備の順番を組みやすくなります。
【図1の補足】大阪府内の指定の窓口
| 事業所の所在地 | 指定の窓口 |
|---|---|
| 大阪市・堺市・吹田市・高槻市・豊中市・寝屋川市・枚方市・東大阪市・八尾市・茨木市・柏原市・松原市 | 各市 |
| 池田市・箕面市・豊能町・能勢町 | 箕面広域 |
| 富田林市・河内長野市・大阪狭山市・太子町・河南町・千早赤阪村 | 南河内広域 |
| 岸和田市・泉大津市・貝塚市・和泉市・高石市・忠岡町 | 岸和田広域 |
| 泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・田尻町・岬町 | 泉佐野広域 |
| 守口市・大東市・羽曳野市・門真市・摂津市・藤井寺市・四條畷市・交野市・島本町 | 大阪府 |
(出典:大阪府「権限移譲について」)この記事の手続きの例は、主に大阪市と、大阪府が指定を行う9市町のものです。そのほかの市町村に事業所を置く場合は、各市町村・広域の窓口の案内をご確認ください。
理由:「一般課程」と「応用課程」で役割が違うから
同行援護従業者養成研修は、令和7年4月から新しいカリキュラムで行われています(厚生労働省・こども家庭庁の事務連絡〈令和7年1月31日〉、厚生労働省 社会保障審議会障害者部会 第136回 資料4)。
【図2】一般課程と応用課程の違い
| 一般課程 | 応用課程 | |
|---|---|---|
| 目的 | 外出する際に必要な援助の知識・技術を学ぶ | 一般課程の修了者などが、サービス提供責任者としての知識・技術を学ぶ |
| 主な対象 | 同行援護の従業者 | サービス提供責任者 |
| 時間数(令和7年4月〜) | 28時間(以前は20時間) | 6時間(以前は12時間) |
| 主な内容 | 視覚障害の理解と疾病、情報提供、代筆・代読、誘導の基本技術・応用技術、交通機関の利用など | サービス提供責任者の業務、個別支援計画と他機関との連携、業務上のリスクマネジメント、従業者研修の実施など |
大阪府の「同行援護従業者養成研修の指定要綱等」のページでは、大阪府移動支援従業者養成研修(視覚障がい課程)を修了した方は、一般課程の修了者相当として扱うとされています。ただし、サービス提供責任者として業務に就く場合は、応用課程(6時間)を新たに受講・修了する必要があるとされています。
従業者の要件
【図3】同行援護の従業者の要件(いずれか)
| 要件 | |
|---|---|
| ① | 同行援護従業者養成研修の一般課程の修了者(大阪府の資料では、大阪府移動支援従業者養成研修(視覚障害課程)など、一般課程に相当するものとして扱う研修が挙げられています) |
| ② | 居宅介護の従業者の要件(介護福祉士、実務者研修、初任者研修など)を満たし、かつ、視覚障がいのある方の福祉に関する事業(直接処遇)に1年以上従事した方 |
| ③ | 国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の修了者など |
(出典:大阪府「資格要件や実務経験について」に掲載の「サービス提供責任者(同行援護)と同行援護従業者の資格要件について」。どの研修が①の「相当する研修」に当たるかなど、個別の扱いは指定の窓口にご確認ください)
サービス提供責任者の要件
【図4】同行援護のサービス提供責任者の要件
| 土台の要件 | + | |
|---|---|---|
| ルート1 | 介護福祉士、実務者研修の修了者など(初任者研修の修了者は、介護等の業務3年以上が必要) | 応用課程の修了 |
| ルート2(令和7年4月〜) | 一般課程の修了+視覚障害者の介護等の業務3年以上 | 応用課程の修了(令和7年4月1日以降に行われたものに限る) |
| ルート3 | 国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の修了者など | ― |
※ ルート2は、厚生労働省・こども家庭庁の通知の改正により、令和7年4月から加わった要件です(厚生労働省・こども家庭庁の事務連絡〈令和7年1月31日。大阪府の掲載〉)。この場合の応用課程は、令和7年4月1日以降に行われた応用課程を修了した方とされています。「3年以上」は、従事した期間が通算1,095日以上で、かつ実際に業務に従事した日数が540日以上であることとされています。
※ 大阪府・大阪市の資格要件の一覧表は、ルート2の追加前の内容のものもあります。個別の要件は、指定の窓口にご確認ください。
つまり、応用課程を修了しただけでは、サービス提供責任者の要件を満たさないとされています。土台の要件を満たしているかを先に確認し、そのうえで応用課程を受講する、という順番で考えると、手戻りを防ぎやすくなります。
具体例:やりがちな順番ミス4つ
【図5】順番ミスの一覧
| ミス | 起こりやすいこと |
|---|---|
| ミス1:一般課程の修了者だけで体制を組む | サービス提供責任者の要件を満たす人がいない |
| ミス2:応用課程だけ受ければよいと考える | 土台の要件(資格・経験)が足りず、サービス提供責任者になれない |
| ミス3:盲ろう者向け通訳・介助員の「みなし」の期限を確認しない | いまの期限(令和9年3月31日)のあと、従事できる人が足りなくなるおそれがある |
| ミス4:申請の予約期限を見落とす | 希望する指定日に間に合わず、指定日が翌月以降になることがある |
ミス1:一般課程の修了者だけで体制を組む
一般課程の修了は、従業者の要件です。サービス提供責任者には、図4の要件が別に求められるとされています。ヘルパーの採用と同時に、サービス提供責任者を誰にするかを決めておくと安心です。
移動支援(視覚障がい)の事業から同行援護に広げる場合も、大阪府移動支援従業者養成研修(視覚障がい課程)の修了者は一般課程の修了者相当として扱われるとされていますが、サービス提供責任者として業務に就くには、応用課程の修了と、図4の土台の要件が必要とされています。移動支援の登録については、移動支援を開設する前の「順番」の記事で整理しています。
ミス2:応用課程だけ受ければよいと考える
応用課程は、サービス提供責任者としての知識・技術を学ぶ課程ですが、修了すればそれだけでサービス提供責任者になれるわけではありません。図4のとおり、介護福祉士・実務者研修などの資格か、一般課程の修了と視覚障害者の介護等の経験3年以上といった土台の要件が必要とされています。一般課程+経験3年のルートでは、応用課程は令和7年4月1日以降に行われたものに限るとされているため、修了証の日付も確かめておくと安心です。
事務連絡では、この「視覚障害者の介護等の業務」には、同行援護や、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を行う事業所の従業者で、主な業務が介護等である方などが当たるとされています。経験年数で要件を満たす場合は、勤めていた事業所・期間・従事日数がわかる資料(実務経験の証明)をそろえられるかどうかも、早めに確認しておくと手戻りを防げます。
ミス3:盲ろう者向け通訳・介助員の「みなし」の期限を確認しない
盲ろう者向け通訳・介助員として活動してきた方が、同行援護従業者養成研修の修了者と「みなす」扱いで、同行援護に従事していることがあります。厚生労働省の資料(障害者部会 第136回 資料4)では、この扱いは令和9年3月31日まで延長され、延長の対象は、延長が決まった時点で、すでにこの扱いで同行援護に従事していた方に限るとされています(原文は「現在、みなし要件で同行援護に従事している者に限る」)。なお、この扱いで従事する方を置く場合の報酬の扱い(減算の有無など)は、指定の窓口にご確認ください。
いまの期限のあとも同行援護に従事するには、同行援護従業者養成研修を修了しておく必要があると考えられます。 新しいカリキュラムでは、盲ろう者向け通訳・介助員養成研修の修了者は、一般課程の28時間のうち9時間が免除されるとされています。該当する方がいる事業所は、期限から逆算して受講の時期を決めておくと安心です。
また、大阪府の資格要件の資料の一覧(図3の①)には「大阪府盲ろう者通訳・介助者養成研修」も載っていますが、いまの扱いや、どの時点の修了者が当たるかは、指定の窓口にご確認ください。なお、大阪市の場合、大阪市の指定申請の手引き(令和8年1月)では、この研修は「大阪市長が相当するものとして認める研修」の一覧(注9の※3)に入っており、平成23年9月30日の時点で修了していた方(またはその時点で受講中で、平成23年10月1日以降に修了した方)が対象とされています。
なお、2026年9月24日の障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第63回)では、厚生労働省がこの経過措置について「廃止を検討してはどうか」という検討の方向性を示しています(第63回の資料「訪問系サービスに係る報酬・基準について」)。まだ決まったものではありません。
この経過措置については、同行援護「盲ろう者向け通訳・介助員」経過措置の廃止提案とは?の記事で詳しくご紹介しています。
ミス4:申請の予約期限を見落とす
大阪府内では、事業所を置く市町村によって、指定の窓口が異なります(【図1の補足】)。窓口ごとに、申請の予約や締切の決まりも違います。
大阪市「新規指定申請の手続きについて」では、指定日は毎月1日で、同行援護は事前協議が不要とされています。そのかわり、申請予約期限までに、福祉局障がい者施策部運営指導課へ電話で面談日時を予約し、受付期間内に来庁して申請書類を提出する流れとされています。
大阪市の案内では、新規指定申請の予約は「指定月の2か月前の10日頃締切」、申請(申請面談)は「指定月の2か月前の20日頃から前月の10日頃まで」とされています(日程は予定で、やむを得ず変更することがあるとされています)。実際の日付は、大阪市の最新の日程表で確かめておくと安心です。
【図6】大阪市の申請スケジュールの例(事前協議が不要なサービス。2026年10月16日時点の大阪市の日程表より)
| 指定日 | 申請予約期限 | 申請受付期間 |
|---|---|---|
| 2027年2月1日 | 2026年12月10日 | 2026年12月21日〜2027年1月12日 |
| 2027年3月1日 | 2027年1月12日 | 2027年1月20日〜2月10日 |
※ 最新の日程は、大阪市「新規指定申請の手続きについて」のページでご確認ください。
大阪府が指定を行う9市町(【図1の補足】)では、大阪府「新規指定申請スケジュール」で、同行援護は事前協議が不要とされ、本申請書類1回目の郵送は指定日の前々月の20日頃まで、補正を終える最終期限は指定日の前月10日までとされています(月によって日付がずれることがあります。府の日程表でご確認ください)。最終締切を過ぎた場合は、いかなる理由でも指定は翌月以降へ延期するとされています。たとえば令和9年2月1日指定は、1回目が令和8年12月21日、最終締切が令和9年1月12日とされています。
また大阪市の案内では、申請時には原則として、法人の定款の変更手続きや、人員・設備などが「事業開始時点の状況」で確定していることが必要とされ、指定申請書類一式がそろっていない場合は受付できないとされています。大阪府の案内でも、受付には人員・設備などについて事業開始時点の状況が確定していることが必要とされています(大阪府は、1回目の郵送の時点では書類がすべてそろっていなくても提出でき、前月10日までに〈消防の立入調査が必要な場合は、それも含めて〉補正を終える流れとされています)。
法人・役員・物件など、障害福祉サービスに共通する準備は、開設前に確認したい「共通チェックリスト」、居宅介護の基準は居宅介護を開設する前の「順番」の記事で整理しています。
開設の前に:ご自身で確かめられることと、ご相談いただけること
| ご自身で確かめられること | 行政書士中谷法務事務所にご相談いただけること |
|---|---|
| サービス提供責任者・従業者の候補の方の修了証(一般課程・応用課程、介護福祉士・実務者研修など)。一般課程+経験3年のルートの場合は、応用課程が令和7年4月1日以降のものか。前の勤め先で、実務経験の証明(事業所・期間・従事日数)を出してもらえるか。盲ろう者向け通訳・介助員の「みなし」で従事している方がいるか。事業所を置く市町村の窓口(【図1の補足】)と、希望する指定日の予約期限・締切 | 候補の方が資格要件に当てはまるかの整理(最終的な判断は指定権者によります)、実務経験の証明書を含む指定申請の書類の準備、指定日から逆算した日程表、居宅介護・移動支援とあわせて始める場合の体制の整理 |
迷うときは、事業所を置く市町村などの指定の窓口にご確認ください。
まとめ
- 同行援護従業者養成研修は、従業者向けの一般課程(28時間)と、サービス提供責任者向けの応用課程(6時間)に分かれています(令和7年4月からの新カリキュラム)。
- サービス提供責任者は、応用課程の修了に加えて、土台の要件(介護福祉士・実務者研修など、または一般課程の修了+視覚障害者の介護等3年以上)が必要とされています。一般課程+経験3年のルートでは、応用課程は令和7年4月1日以降のものに限るとされています。
- 盲ろう者向け通訳・介助員の「みなし」の扱いは令和9年3月31日まで(延長が決まった時点で従事していた方に限る)とされています。いまの期限のあとも従事するには、研修の修了が必要になると考えられます。
- 大阪府・大阪市では事前協議は不要とされていますが、大阪市は申請予約期限があり、申請(面談)の時点で人員などが確定している必要があるとされています。大阪府は、指定日の前月10日までに(消防の立入調査が必要な場合は、それも含めて)補正を終える必要があるとされています。
同行援護の開設では、「サービス提供責任者になれる人」を先に確認し、研修の日程から逆算することが最初の一歩になると考えられます。
免責:この記事は、2026年10月8日時点(2026年10月16日に一部見直し)の厚生労働省・こども家庭庁・大阪府・大阪市の公式の案内をもとにした一般的な情報のご紹介です。要件や手続きは、指定を行う市町村などによって異なり、変更されることもあります。個別の要件は、事業所を置く市町村などの指定の窓口にご確認ください。
同行援護の開設のご相談は「介護福祉士×行政書士」の当事務所へ
同行援護は、研修の課程や経験の年数など、人の要件を早めに確認しておきたいサービスです。
行政書士中谷法務事務所では、介護福祉士でもある行政書士が、現場を知る立場から、人員の要件の確認や、移動支援・居宅介護とあわせた体制づくり、指定申請の準備をお手伝いします。



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