児童発達支援を開設する前の「順番」——児発管・物件・事前協議、どこでつまずく?【大阪】

障がい福祉サービス(就労継続支援・グループホーム・生活介護など)の開設・運営支援のイメージ画像 障がい福祉

児童発達支援の開設で最初に押さえたいのは、「児童発達支援管理責任者(児発管)」の確保と、物件(建物)の確定を、事前協議の前に済ませておくことです。事前協議は、指定を受けたい月の3か月前に手続きが必要です。人と物件の準備が遅れると、開設の時期がそのまま後ろにずれます。この記事では、国の基準(省令)と、大阪府・大阪市の公式情報をもとに、開設前の順番と、つまずきやすい点を、図や表で整理します。

この記事のポイント(3つ)

  1. 児発管の確保と、物件(建物)の確定を、事前協議の前に済ませます。
  2. 契約の順番は、建物を確定 → 事前協議 → 契約 → 本申請の協議です(大阪府の障がい児通所支援の案内)。
  3. 児童発達支援には、「事業所」と「センター」があり、基準が異なります。この記事は、主に事業所(センター以外)を扱います。

この記事で使う言葉(用語解説)

言葉 かんたんな意味
児童発達支援 障がいのある子ども(障害児)が、日常生活の基本的な動作や知識・技能を身につけたり、集団生活に慣れたりするために、必要な支援を受けるサービス。主に、小学校に入る前の子どもが利用します。
障がい児通所支援 児童発達支援や、放課後等デイサービスなど、障がいのある子どもが通って利用するサービスの総称。児童福祉法にもとづき、大人向けの障がい福祉サービス(障害者総合支援法)とは、別の基準が定められています。
児童発達支援事業所と、児童発達支援センター 児童発達支援を行う場は、大きく2つ。センターは、設備や人員の基準が異なります(後ほど触れます)。
児童発達支援管理責任者(児発管) 子ども一人ひとりの支援計画づくりなどを担う専門職。大人向けサービスの「サービス管理責任者」にあたります。
児童指導員・保育士 子どもの支援にあたる職員。
発達支援室 子どもへの支援を行う部屋。
事前協議 正式な申請の前に、人員や設備などの計画を、自治体と確認する手続き。児童発達支援は、事前協議が必要です。

結論:児発管と物件を先に固め、契約は事前協議のあとに

【図1】開設までの流れ

児童発達支援 開設までの流れ図
順番 やること ポイント
① 指定を受けたい月を決める 3か月前の月末(大阪府の場合)から、逆算します
② 事業所か、センターかを決める 基準が異なります
③ 事業所を置く市町村の窓口を確認する 窓口によって手続きが変わります。市町村の担当課にも、連絡します
④ 児発管を確保する 資格や実務経験の要件を確認し、専任かつ常勤で配置できる方を探します
⑤ 児童指導員または保育士の見通しを立てる 障害児の数に応じた人数と、1人以上の常勤の確保を考えます
⑥ 物件を確定する 定員(10人以上)に見合う広さと、発達支援室を確保できるか、消防・建築の面も含めて確認します。契約は、まだ結びません
⑦ 事前協議に進む 受付期間内に、必要書類をそろえて手続きします
⑧ 事前協議のあとに、賃貸借契約を結び、本申請の協議に進む 契約書の写しを、提出します
⑨ 本申請のあとの流れを確認する 2次審査 → 指定時研修 → 指定日。なお、現地確認は、放課後等デイサービスのみと案内されています

大阪府の障がい児通所支援の案内では、事前協議の前に、児発管の資格や実務経験を確認できる書類を提出する必要があります。また、事前協議のときは、建物(部屋)を確定しておく必要があります。

理由:人員と設備の基準が、開設の準備の中心になるから

国の基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)では、児童発達支援について、次のように定められています。

【図2】事業所(センター以外)の人員・設備・定員の基準

項目 基準
児童指導員または保育士 単位ごとに、サービスを提供する時間帯を通じて、専らその支援にあたる人を置きます。
・障害児が10人まで:2人以上
・10人を超える:2人に、10人を超えて5人(または、その端数)を増すごとに1人を加えた数以上
・1人以上は常勤
児童発達支援管理責任者 1人以上。そのうち、1人以上は、専任かつ常勤
管理者 専らその職務に従事する管理者(管理上、子どもの支援に支障がない場合は、他の職務との兼務もできます)
その他の職員 機能訓練を行う場合は機能訓練担当職員、医療的ケアを行う場合は看護職員を置く(一定の例外があります)。主に重症心身障害児が通う事業所には、別の人員配置の基準があります
発達支援室 設けて、支援に必要な機械器具などを備える。設備や備品は、原則として、その事業専用
利用定員 10人以上(主に重症心身障害児が通う事業所は、5人以上)

【図3】児童指導員または保育士の人数の目安

障害児の数 必要な人数(児童指導員または保育士の合計)
10人まで 2人以上
11人〜15人 3人以上
16人〜20人 4人以上

(国の基準の計算式から計算した例です。)

つまり、児童発達支援は、人員(児発管・児童指導員または保育士)と、定員を満たせる広さの物件が、そろって初めて申請に進めます。

具体例:やりがちな順番ミス5つ

【図4】順番ミスの一覧

ミス 起こること 避け方
1 児発管の確保が後回し 事前協議に進めない 事前協議の前に、資格証・実務経験証明書をそろえる
2 物件の確定と契約の順番を間違える 事前協議の指摘で、やり直しになる 建物を確定 → 事前協議 → 契約の順番で進める
3 設備・定員と、消防の手続きを見落とす 消防の届出が間に合わず、指定が翌月以降に延期される 物件を決めたら、早めに消防署へ確認する
4 事前協議の期限・受付期間を間違える 受付期間外は却下。期限後は翌月扱い 3か月前の1日0時〜月末日24時を確認する
5 市町村への確認・連絡を忘れる 市町村の意向を確認しないまま進む 事前協議の前に、担当課へ連絡する

ミス1:児発管の確保が後回しになる

大阪府の案内では、事前協議のときに、児発管の資格証と実務経験証明書の提出が必要とされています。児発管の資格要件を満たしているか、審査できるようにするためです。そのほかの職員は、「必ずしも確定しておく必要はない」とされていますが、人員配置の時間などの予定は、決めておく必要があります。

さらに、国の基準では、児発管のうち1人以上は専任かつ常勤です。他の事業所で働いている方を配置する場合は、申請までに変更届が必要になる場合があります(大阪市の案内)。「児発管は、あとで探す」では、事前協議に進めません。

ミス2:物件の確定と契約の順番を間違える

【図5】物件と契約の順番(大阪府の障がい児通所支援の案内)

段階 物件・契約の扱い
事前協議の前 建物(部屋)を確定しておく(使用の予定でも構いません)
事前協議のあと 賃貸借契約を結ぶ
本申請の協議のとき 賃貸借契約が締結され、その契約書の写しを提出する

つまり、契約の前に建物を確定し、事前協議に進み、そのあとで契約する、という順番が想定されています。事前協議の前に契約を結んでしまうと、その後の指摘(設備や消防など)で、やり直しになるおそれがあります。契約の時期は、事前に自治体へ確認してください。

ミス3:設備・定員と、消防の手続きを見落とす

児童発達支援事業所(センター以外)の発達支援室について、国の基準には、広さの具体的な数字は示されていません。自治体が個別に確認する場合がありますので、契約や工事の前に、自治体へ相談してください。大阪府・大阪市とも、消防法上の手続きに時間がかかる場合があると案内しています。

大阪府の「事業開始前の注意事項(10項目)【障がい児通所支援】」では、次のことも案内されています。

【図6】事業開始前の注意事項(大阪府の案内より)

項目 内容
ニーズの確認(総量規制) 児童発達支援(と放課後等デイサービス)について、ニーズがあるか、必要数に達していないかなどを、各市町村の「指定に関する意見等」で確認し、事前に連絡・説明を行う
建築基準法 延べ床面積が200平方メートルを超える場合は、用途変更が必要な場合がある
消防法 本申請協議のときに、消防署の受付印がある「防火対象物使用開始届」の提出が必要。受付締切日までに提出がない場合は、指定が翌月以降に延期
洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域 区域内の場合は、避難確保計画の作成と、避難訓練の実施が義務
初期費用・運転資金 給付費の振込は、サービス提供を始めてから約2か月後。少なくとも2、3か月分の人件費などの運転資金を確保する
利用児童の安全確保 身体拘束等の適正化、虐待防止措置、送迎用自動車の安全装置、利用児の安全確認、安全計画の策定を、事業開始前に確認する

このほか、近隣住民への事前説明、事業所の名称、送迎がある場合の駐車場の確保も、案内されています。

ミス4:事前協議の期限・受付期間を間違える

【図7】事前協議の受付期間(大阪府・大阪市)

窓口 内容
大阪府 受付は、指定を受けたい日の3か月前の1日0時から始まり、期限は3か月前の月末日24時(例:令和8年7月1日指定なら、令和8年4月1日0時から、4月30日24時まで)
・受付開始の前に手続きすることはできません(受付期間外は、申請が却下されます)
・提出書類の消印の日付が、提出期限を過ぎている場合は、翌月扱い
・最終締切日までに書類の補正が完了しない場合は、指定が翌月以降に延期
大阪市 児童発達支援は事前協議が必要。指定は毎月1日付。事前協議は、指定月の3か月前の月初から月末までに、大阪市行政オンラインシステムで手続き。必要書類がそろっていないと、受け付けてもらえません

ミス5:市町村への確認・連絡を忘れる

大阪府の案内では、事前協議の前に、次のことが求められています。

  • 「事業開始前の注意事項(10項目)」の確認
  • 事業所を置く各市町村の「指定に関する意見等」を確認し、市町村の障がい児支援の担当課へ、開設の連絡を入れること(ニーズの確認などのため)

窓口は、事業所の所在地によって変わります。事業所を置く予定の市町村の情報を、早めに確認してください。

児童発達支援センターの場合は、基準が異なります

児童発達支援を行う場のうち、「児童発達支援センター」は、事業所(センター以外)より、人員・設備の基準が厚くなっています。

【図8】事業所とセンターの違い(国の基準)

項目 児童発達支援事業所(センター以外) 児童発達支援センター
人員 児童指導員または保育士(障害児10人まで2人以上)、児発管など 嘱託医、児童指導員と保育士(合計で、おおむね障害児の数を4で割った数以上。児童指導員と保育士は、それぞれ1人以上)、栄養士または管理栄養士、調理員、児発管など(一定の場合は、栄養士や調理員を置かないことができます)
設備 発達支援室、必要な設備・備品 発達支援室、遊戯室、屋外遊戯場、医務室、相談室、調理室、便所、静養室など
発達支援室 広さの数字は、国の基準にありません 定員おおむね10人。障害児1人あたり2.47平方メートル以上
遊戯室 (なし) 障害児1人あたり1.65平方メートル以上

センターとして開設する場合は、事業所より、必要な準備が多くなります。どちらの形で開設するかを、最初に決めておきましょう。

なお、児童発達支援と放課後等デイサービスを、同じ事業所で行う場合の特例(多機能型)も、国の基準に定められています。組み合わせて開設する場合は、自治体へ事前にご確認ください。

放課後等デイサービスの記事・総論・共通チェックリストへ

放課後等デイサービスの開設は、児発管や物件の準備など、共通する点が多くあります。あわせてご覧ください。また、法人・定款・役員の欠格要件・必要書類・収支計画など、どのサービスにも共通する内容は、総論の記事と、共通チェックリストの記事でまとめています。

児童発達支援の開設のご相談は「現役介護福祉士×行政書士」の当事務所へ

児童発達支援は、児発管の確保や物件の確認など、準備の順番を間違えると、開設の時期が大きくずれます。また、子どもたちと保護者が安心して通える運営ができるかも、大切な点です。

当事務所は、現役の介護福祉士としての現場経験と、行政書士としての申請実務の両方を持っています。事前協議のスケジュールの組み立てから、人員・物件の確認、申請、開設後の運営体制まで、あわせてご相談いただけます。

要件・流れの全体像は「放課後等デイサービス・児童発達支援の指定申請ガイド」にまとめています。

まとめ

  • 児童発達支援は、児発管の確保と、物件(建物)の確定を、事前協議の前に済ませましょう
  • 事業所(センター以外)の人員は、児童指導員または保育士が2人以上(障害児が10人まで。10人を超えると増員)、児発管が1人以上(専任かつ常勤を含む)です
  • 利用定員は10人以上(重症心身障害児が主の場合は5人以上)、発達支援室が必要です。センターは、基準が異なります
  • 事前協議は、指定日の3か月前の月末日24時が期限です(大阪府)。賃貸借契約は、本申請の協議のときまでに結び、契約書の写しを提出します
  • 消防の手続き(防火対象物使用開始届)には、時間がかかる場合があります

制度は変わることがあります。開設をお考えの方は、お早めにご相談ください。

開設前の確認に使える「共通チェックリスト【大阪版】」(PDF・A4で2ページ)を無料でダウンロードできます。印刷して、□にチェックを入れながらお使いください。

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開設後も、処遇改善加算の毎年の手続きや、運営指導(旧:実地指導)への備えなど、継続してご相談いただける顧問契約もご用意しています。詳しくは料金案内ページをご覧ください。

児童発達支援の開設、児発管や物件をどう進めればよいかお悩みではありませんか?

指定を受けたい月から逆算して、人員・物件・事前協議の順番を、現場目線と申請実務の両面から整理します。

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行政書士中谷法務事務所
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この記事を書いた人
行政書士 中谷 康宏

行政書士中谷法務事務所 代表。介護福祉士。高齢者介護施設での勤務を経て、現在も障がい福祉の訪問ヘルパーとして現場に立ちながら、障がい福祉サービスの指定申請・運営支援、測量業・建設コンサルタント登録などを担当しています。現場と窓口の両方の目線で、分かりやすくお伝えすることを心がけています。

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