下水道の点検・調査・設計を担う「建設コンサルタント(下水道部門)」の仕事は、今後さらに増えていくと見立てられます。国や大阪市が公表しているデータから、そう推測できます。
国土交通省によると、使い始めてから50年を過ぎた下水道管は、現在は全体の約7〜8%です。これが20年後には約4割台まで増える見通しです。大阪市でも、大きな下水道管の調査で、対策が必要な区間が見つかっています。この記事では、国土交通省・大阪市の公表データをもとに、下水道インフラの現状と、建設コンサルタント登録「下水道部門」の要件を整理します。
この記事のポイント(3つ)
- 50年を過ぎた下水道管は、今の約7〜8%から、20年後には約4割台に増える見通しです(国土交通省)。
- 国の調査では、大きな下水道管のうち748kmが「対策が必要」と判定されました。大阪市でも、対策が必要な区間が見つかっています。
- 調査・設計を担う建設コンサルタントには、国の登録制度があり、「下水道部門」があります。
この記事で使う言葉
- 建設コンサルタント:道路・河川・下水道などの公共工事で、調査・計画・設計などを担う専門家・会社のことです。工事そのもの(施工)は、別の建設会社が行います。
- 建設コンサルタント登録:一定の要件(技術者・資本金など)を満たした建設コンサルタントが、国土交通大臣から受けられる登録制度です。登録がなくても営業自体は自由にできます。
- 登録部門:登録の分野のことです。「道路」「河川・砂防・海岸海洋」「下水道」など、全部で21の部門があります。
- 技術管理者:登録部門ごとに置く、技術面の責任者です。その部門に対応した技術士であることが必要です。
- 緊急度Ⅰ・Ⅱ:国の調査での判定区分です。緊急度Ⅰは原則1年以内、緊急度Ⅱは応急措置のうえ5年以内の対策が必要とされる区間です。
結論:下水道を「調べる・設計する」建設コンサルタントの仕事は、これから増えると見立てられます
古くなった下水道管を見つけて直すには、まず調べて(点検・調査)、どう直すかを決める(設計)必要があります。この部分を担うのが、建設コンサルタントです。公表されているデータを見ると、この仕事の必要性は今後も続くと見立てられます(あくまで推測です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全国の下水道管の長さ | 約50万km |
| 50年を過ぎた管の割合 | 約7〜8%(今)→ 約4割台(20年後) |
| 国の特別重点調査で「対策が必要」とされた長さ | 748km(緊急度Ⅰ:201km/緊急度Ⅱ:547km、令和8年4月21日公表) |
| 大阪市で「対策が必要」とされた長さ | 緊急度Ⅰが18.4km、緊急度Ⅱが65.7km(令和8年6月末時点) |
※表中の合計は、公表資料の数字をもとに当事務所で足し合わせたものです。
理由①:50年を過ぎる下水道管が、これから急に増えていく
国土交通省によると、全国の下水道管はおよそ50万kmあり、50年を過ぎた管の割合は、今後次のように増えていく見通しです(年度により若干数値の幅がありますが、傾向は共通しています)。
| 時点 | 50年を過ぎた管の長さ | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 現在 | 約4万km前後 | 約7〜8% |
| 10年後 | 約10万km前後 | 約2割前後 |
| 20年後 | 約20万km台 | 約4割台 |
20年ほどで、長さにして5〜6倍に増える見通しです。古い管が増えるほど、点検・調査・改築の必要性も増していきます。
理由②:国が、全国で大きな下水道管の調査を求めた
2025年(令和7年)1月28日、埼玉県八潮市で下水道管の破損が原因とされる道路陥没事故が発生しました。これを受けて、国土交通省は全国の自治体に「下水道管路の全国特別重点調査」を求めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査の対象 | 管の直径(管径)が2m以上で、平成6年度以前に設置された下水道管 |
| 対象の自治体・長さ | 535団体・5,332km |
| 調査した長さ | 5,121km(令和8年2月末時点) |
| 対策が必要な長さ | 748km(緊急度Ⅰ:201km/緊急度Ⅱ:547km) |
| 地中の空洞 | 96か所(すべて対策済み) |
国土交通省は、自治体に対し、調査が終わっていない区間の調査や、対策が必要な区間の更新などを速やかに行うよう求めています。
なお、業界紙の報道によると、令和8年6月末時点では、対策が必要な延長は807km(4月末時点の748kmから59km増加)まで拡大しているとされています。国土交通省の公式資料でこの数字を確認できてはいませんが、調査が進むにつれて対策が必要な区間はさらに増える傾向にあるようです。
具体例①:大阪市でも、対策が必要な区間が見つかった
大阪市は、直径2m以上で1994年(平成6年)以前に設置した下水道管、約228kmを調査の対象としました(そのうち優先して調べる区間が約30km)。調査には、人が管の中に入って目で確かめる方法に加えて、テレビカメラやドローンなどの技術も使われています。
| 区分 | 緊急度Ⅰ(原則1年以内) | 緊急度Ⅱ(5年以内) |
|---|---|---|
| 優先して調べた区間 | 4.2km | 13.2km |
| それ以外の区間 | 14.2km | 52.5km |
| 合計 | 18.4km | 65.7km |
※合計は、公表資料の数字をもとに当事務所で足し合わせたものです。
大阪市は、緊急度Ⅰ・Ⅱと判定された区間について、修繕や改築などの対策を進めていく方針を示しています。
具体例②:梅田の近くで起きた、下水道工事中の事故
2026年(令和8年)3月、大阪市北区鶴野町(梅田の近く)で、下水道の工事中に、仮設の鋼製ケーシングが地上に浮き上がる事故がありました。大阪市は、原因の究明と再発防止策を事故報告書にまとめて公表しています。
この事故は、老朽化による事故ではなく、新しい下水道管をつくる工事の中で起きた事故です。
都市部の地下で下水道の工事を安全に進めるには、地盤や地下水の条件をふまえた、事前の調査と計画が欠かせません。老朽化した管の更新が増えていく中で、こうした調査・計画を担う仕事の大切さは、さらに増していくと考えられます(推測です)。
建設コンサルタント登録の「下水道部門」とは
建設コンサルタントには、国土交通大臣による登録制度があります。主に土木分野を対象とした登録部門は全部で21あり、そのうちの1つが「下水道部門」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録は必要? | 任意です。登録の有無に関わらず、建設コンサルタントとしての営業自体は自由にできます |
| 登録部門(一部抜粋) | 河川・砂防・海岸海洋、港湾・空港、道路、鉄道、上水道・工業用水道、下水道、農業土木、都市計画・地方計画、地質、土質・基礎、建設環境 など、全21部門 |
| 技術管理者 | 登録部門ごとに、その部門に対応した選択科目の技術士を、専任で配置する必要があります |
| 財産的基礎の要件 | 法人:資本金500万円以上、かつ自己資本1,000万円以上(個人の場合は自己資本1,000万円以上) |
| 窓口 | 本店の所在地を管轄する地方整備局など(大阪府・兵庫県などは近畿地方整備局) |
登録は任意ですが、実際に登録を受けるには、部門ごとの技術士と、一定の財産的基礎が必要になります。「どの部門で登録するか」「その部門の技術士がいるか」を、最初に確認しておくことが大切です。登録の進め方や費用の目安は、料金案内のページでもご案内しています。
登録の要件や測量業との違いは「建設コンサルタント登録の要件」で解説しています。
まとめ
- 50年を過ぎた下水道管は、約7〜8%(今)から約4割台(20年後)に増える見通しです
- 国の調査では、大きな下水道管のうち748kmが「対策が必要」と判定されました
- 大阪市でも、緊急度Ⅰが18.4km、緊急度Ⅱが65.7kmの区間で対策が必要とされています(令和8年6月末時点)
- 下水道の点検・調査・設計を担う建設コンサルタントには、国の登録制度があります
- 登録には、部門ごとの技術士と、財産的基礎の要件があります
制度や数字は、今後変わる可能性があります。実際の手続きにあたっては、必ず国土交通省・各自治体の最新の公式情報をご確認ください。
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