居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護は、ヘルパーが利用者のご自宅や外出先で支援を行う「訪問系サービス」です。大きな物件が要らず、始めやすいと思われがちですが、ヘルパーの資格がサービスごとに違うこと、事前協議がないぶん、申請の時点ですべてをそろえる必要があることに注意が必要です。このページでは、国の基準と大阪府・大阪市の案内をもとに、4つのサービスの違いと開設のポイントを表で整理します。
このページのポイント
- 4つのサービスは、ヘルパーを常勤換算で2.5人以上、サービス提供責任者、管理者を置くという人員基準が共通です。
- ただし、ヘルパーとサービス提供責任者の資格は、サービスごとに違います。行動援護の経過措置は令和9年3月31日までとされています。
- 大阪府・大阪市とも事前協議は不要ですが、申請の締切は厳しく、遅れると指定が翌月以降にずれます。
1. 4つの訪問系サービスの違い
| サービス | 主な内容 | 対象となる方(国の基準の概要) |
|---|---|---|
| 居宅介護 | 自宅での入浴・排せつ・食事などの介護、調理・洗濯・掃除などの家事、通院の介助など | 障害支援区分1以上(通院の介助で身体介護を伴う場合は区分2以上など) |
| 重度訪問介護 | 重い障がいのある方に、自宅での介護から外出時の移動の支援までを総合的に、長時間行う | 区分4以上で、手足の麻痺などにより常に介護が必要な方、または行動上著しい困難がある方 |
| 同行援護 | 視覚障がいのある方の外出に同行し、移動に必要な情報(代読・代筆を含む)の提供や移動の援護を行う | 視覚障がいにより、移動に著しい困難がある方(障害支援区分の認定は不要とされています) |
| 行動援護 | 知的障がい・精神障がいにより行動上著しい困難がある方に、危険を避けるための支援や外出時の移動の支援を行う | 区分3以上で、行動に関する項目の合計が一定以上の方 |
2. 人員基準:4サービスに共通の骨組み
| 職種 | 必要な数(国の基準) |
|---|---|
| ヘルパー(従業者) | 常勤換算で2.5人以上 |
| サービス提供責任者 | 事業の規模に応じて1人以上(下の表を参照) |
| 管理者 | 常勤で1人(管理上支障がなければ、ほかの職務との兼務も可) |
サービス提供責任者の数は、次のような目安で決まるとされています。
| サービス | サービス提供責任者を1人置く目安(いずれか) |
|---|---|
| 居宅介護・同行援護・行動援護 | 月のサービス提供時間450時間ごと/ヘルパー10人ごと/利用者40人ごと など |
| 重度訪問介護 | 月のサービス提供時間1,000時間ごと/ヘルパー20人ごと/利用者10人ごと |
4つのサービスを同じ事業所で一体的に運営する場合、ヘルパーの人数は1事業所分で足り、管理者も兼務できるとされています。各サービスの人員の考え方は、障害福祉サービスの人員基準一覧でも比較しながら解説しています。
3. ヘルパー・サービス提供責任者の資格:ここがサービスごとに違う
| サービス | ヘルパーの主な資格 | サービス提供責任者の主な要件 |
|---|---|---|
| 居宅介護 | 介護福祉士、実務者研修、介護職員初任者研修、居宅介護職員初任者研修 など | 介護福祉士、実務者研修修了者 など |
| 重度訪問介護 | 重度訪問介護従業者養成研修の修了者、または居宅介護のヘルパーの資格がある方 | 居宅介護のサービス提供責任者と同じ要件 など |
| 同行援護 | 同行援護従業者養成研修(一般課程)の修了者 など(居宅介護の資格で従事する場合は、視覚障がいのある方への支援の経験が1年以上必要とされています) | 居宅介護のサービス提供責任者の要件 + 同行援護従業者養成研修(応用課程)の修了 |
| 行動援護 | 行動援護従業者養成研修(または強度行動障害支援者養成研修の基礎研修・実践研修)の修了者で、知的・精神障がいのある方への直接支援の経験が1年以上 | 同じ研修の修了者で、直接支援の経験が3年以上 |
- 以前あった「介護職員初任者研修の修了者で実務経験3年以上の方を、居宅介護のサービス提供責任者にできる」という扱いは、令和6年度の報酬改定で廃止されています。
- 行動援護で、研修を修了していない介護福祉士などを従事させることができる経過措置は、令和9年3月31日まで延長されたうえで、その後は廃止とされています。
- 同行援護にも、盲ろう者向け通訳・介助員に関する経過措置(令和9年3月31日まで)があります。対象となる方は限られるため、個別にご確認ください。くわしくは関連記事でも解説しています。
訪問系で一番つまずきやすいのは、「集めたヘルパーさんの資格で、どのサービスに入れるか」の確認です。居宅介護のつもりで集めたメンバーで、同行援護や行動援護も始めようとしたら、研修や経験年数が足りなかった、ということが起こりがちです。どのサービスから始め、どの順番で広げるのか。現役の介護福祉士として、資格の一覧表を作りながら一緒に整理します。
4. 設備基準
- 事業の運営に必要な広さのある専用の区画(ほかの事業と明確に区分された事務室など)
- 利用の申込みの受付や相談に対応できるスペース
- 手を洗う設備など、感染症の予防に必要な設備への配慮
大きな設備は求められませんが、事務所の物件が「専用の区画」と言えるかは、申請の前に図面で確認しておくと安心です。
5. 大阪での手続き:事前協議は不要、でも締切は厳しい
| 窓口 | 申請の方法と締切(目安) |
|---|---|
| 大阪市 | 電話で申請の予約をし、来庁して面談のうえ提出します。予約の期限・申請の期間は指定日ごとに決まっており、指定日のおよそ2か月前から動き出す必要があります |
| 大阪府(府が窓口の市町村) | 郵送で提出します。最終締切は指定を受けたい日の前月10日(消印有効)で、過ぎると指定は翌月以降に延びるとされています |
| そのほかの市(堺市・中核市など) | それぞれの市が窓口です |
※指定は毎月1日付けです。具体的な日付や提出書類は年度ごとに変わることがありますので、必ず各窓口の最新の案内をご確認ください。
なお、大阪市で移動支援事業の登録を受けるには、居宅介護(重度訪問介護)の指定基準を満たしていることが要件とされています。訪問系サービスとあわせて移動支援を考えている方は、最初から両方を見据えて準備するのがおすすめです。
6. 行政書士中谷法務事務所のサポート
- 資格と人員の整理:ヘルパーさんの資格・経験から、どのサービスに入れるか、サービス提供責任者を誰にするかを一覧表で整理します。
- 締切から逆算したスケジュール:窓口ごとの予約・締切に合わせて、法人の準備から申請までの段取りを作ります。
- 指定申請の書類作成:申請書・運営規程・勤務形態一覧表などを作成し、窓口とのやり取りを行います。
- 開設後の運営:変更届や加算の届出、処遇改善加算、運営指導への備えまで、継続してご相談いただけます。
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※このページは、国の基準・告示と大阪府・大阪市の公開情報をもとに、一般的な内容をまとめたものです。個別の事業所の要件やヘルパーさんの資格の扱いは、指定権者(大阪府・大阪市など)にご確認ください。
