解体工事だけを請け負う場合、必ずしも建設業許可が必要とは限りません。請負金額によっては、より簡易な「解体工事業登録」で対応できる場合があります。一方で、この登録と建設業許可の使い分けを誤ったまま営業してしまうと、後から指摘を受けるリスクがあります。ここでは、解体工事業登録の内容と、建設業許可との違いを整理します。
解体工事業登録とは
解体工事業登録は、建設業法ではなく「建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)」に基づく制度で、都道府県知事への登録です。国土交通省へ一元的に登録する測量業登録や建設コンサルタント登録とは異なり、工事を行う都道府県ごとに登録が必要になる点に注意が必要です。
登録と建設業許可、どちらが必要か
解体工事を行う場合に登録・許可のどちらが必要になるかは、1件あたりの請負金額(税込)で決まります。
| 請負金額(税込) | 必要な資格 |
|---|---|
| 500万円未満 | 建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)がなければ、都道府県の「解体工事業登録」が必要 |
| 500万円以上 | 建設業許可(原則「解体工事業」)が必須。登録では対応できない |
つまり、500万円未満の小規模な解体工事しか請け負わない事業者にとっては、登録の方がハードルが低い選択肢になります。一方、建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)をすでに持っている場合は、あらためて解体工事業登録を受ける必要はありません。
建設業許可「解体工事業」の新設経緯
解体工事業は、平成28年6月1日施行の建設業法改正で新設された比較的新しい許可業種です。それ以前は「とび・土工工事業」の許可に含まれていましたが、改正後は独立した29番目の業種として扱われています。施行時にとび・土工工事業の許可を持っていた事業者向けの経過措置(許可の取得猶予は令和元年5月31日まで、技術者の取扱いに関する経過措置は令和3年3月31日まで)は、いずれも既に終了しています。現在は、500万円以上の解体工事を請け負うには、とび・土工工事業ではなく「解体工事業」としての建設業許可が必要です。
解体工事業登録の要件
技術管理者の選任
営業所ごとに、現場での施工の技術上の管理を担う「技術管理者」を選任する必要があります。技術管理者は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 実務経験8年以上
- 大学(指定学科)卒業後2年以上、または高校(指定学科)卒業後4年以上の実務経験
- 1級土木施工管理技士、1級建築士、1級建設機械施工技士など、対象となる国家資格の保有
- 実務経験と国土交通大臣登録講習の受講を組み合わせた要件
- 解体工事施工技士試験の合格
欠格事由に該当しないこと
登録の取消しから2年を経過していないこと、禁錮以上の刑や建設リサイクル法・建設業法等の違反による罰金刑から2年を経過していないこと、暴力団関係者であることなど、一定の欠格事由に該当しないことも要件です。
登録に必要な書類
| 書類 | 内容・備考 |
|---|---|
| 解体工事業登録申請書 | 登録の基本情報を記載 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しないことの誓約 |
| 技術管理者の基準適合を証する書面 | 資格証明書、実務経験証明書など要件に応じて異なる |
| 登録申請者の調書 | 役員等の状況を記載 |
| 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | 法人の場合のみ。発行から3か月以内のもの |
| 住民票の抄本 | 個人事業主・役員等。発行から3か月以内のもの |
| 営業所の所在地が分かる書類 | 案内図・賃貸借契約書の写しなど、都道府県により指定あり |
登録の有効期間と更新
登録の有効期間は5年間です。引き続き解体工事業を営む場合は、有効期間満了の2か月前から30日前までの間に更新の申請を行う必要があります。更新を忘れると登録の効力を失い、500万円未満の解体工事であっても請け負えなくなるため注意が必要です。登録手数料の目安は新規で35,870円、更新で29,340円程度ですが、都道府県によって多少異なります。
解体工事では「産廃」の論点も避けて通れない
解体工事業登録や建設業許可(解体工事業)は、あくまで工事そのものを行うための資格です。解体工事に伴って発生する廃材(産業廃棄物)を自社の車両で運搬する場合には、別途「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要になることがあります。特に元請業者として工事を請け負う場合、下請業者が排出した廃棄物であっても、原則として元請業者が「排出事業者」とみなされる点に注意が必要です。詳しくは産業廃棄物収集運搬業許可 建設業者が兼業する場合に知っておきたいポイントで解説しています。
まとめ
解体工事業登録と建設業許可は、請負金額という一つの基準で明確に線引きされていますが、500万円という金額は工事一件あたりの金額であるため、事業の広がりに応じて登録から許可への切り替えが必要になる場面も出てきます。建設業許可(新規・更新)については建設業許可(新規・更新)、公共工事まで視野に入れる場合は建設コンサルタント登録の要件もあわせてご確認ください。
